チベット旅行 5 初めてのラサ
チベットの中心地、ラサ
じーさんガイド、便宜上 以降Gさんとしよう、Gさんはさっとわたしの手荷物を取り上げる。
老紳士Gはこともなげに車道を横断する。
交通量は多めで、信号は少ない。
ラサを散策するには、横断スキルが必要である。
こえええまじかああ と心の中で叫びながら無表情でついていく。
自分がいかに秩序に守られていたかを痛感する瞬間だ。
Gさんが車のドアを開けると、オヤッと運転手が目を覚まし、座席を起こす。
長いこと待たされて仮眠してたようだ。
人の好さそうな照れ笑顔を見せてくれた。
いかにもチベット人、と言う顔で、日焼けをしていて痩せ型、ベタッとした髪をしていた。(どういうイメージ)
あなたもチベットに行けば多くの人の顔に見覚えがあり、親しみを覚えることだと思う。
Gさんがこれからのプランについて話し出す。
「ヤムドク湖を予定してましたが、来られるのが一日遅れたので観光できるのがあと一日しかありません。ラサかヤムドク湖か、どちらか一つになります。」
Gさんは相手の気を悪くしないように、でも手前に責任がないことを伝えつつ、話を進める。
かなり経験を積んで配慮のある人だ。
ヤムドク湖はわたしの憧れだった。
どこから見つけたのか今ではわからないが、一目惚れした写真が、まさにヤムドク湖で撮影されたものだったのだ。(画像検索でわかった)
その写真がこちら。
Lakes of Tibet: Travel Guide to Top 10 Sacred Lakes から引用
このヤムドク湖行きをツアーに組み込むために、一万円をプラスしてオプションを追加したのだ。
湖に行くためにどうしてそんなにお金がかかるかというと、ガイドと運転手が目的地に同行し、一泊しなければならないからだ。
ちなみにラサから車を出して別の地域に行くというだけで中国政府に申請しなければならない。
めんどくさ。
さてプランに話を戻すと、わたしはラサか湖か決めかねて、Gさんに聞いてみた。
「どっちの方が行くべきですかねぇ。」
「うーん、ラサをお勧めします。湖は列車から見たでしょう。」
た、確かに見たは見たな…。
ここは信頼できそうなGさんのススメに従うことにした。
折れたように見せかけて、わたしはチベットにまた来る理由を作っておいたのかもしれない。
昼過ぎだったので、まずは御飯を食べに行く。
通りの中にあるこじんまりとした店へ入る。
Gさんと店の人が、なにひとつわからないことばを使っている。
チベット語、初めて聞いた。
ごもごもしててなんだか神秘的な響きだ。
みんなボソボソと控えめな声で話すので、よけいに雰囲気がある。
なに話してんだろ。
人見知りでキョロキョロしながら待つ。
神棚がある。
貼り付けてはじめて気づいたけど、仕切りの布がキレイだ。全然気付かなかった。
その後もキョロキョロし続けていると、トゥクパ(チベット麺)とチャガモ(ミルクティー)、大根の浅漬け的なものを出してくれた。
いただきます。
うんまああああ!
食感はうどんに似ているけど、そこまでちゅるちゅるしていない。
出汁が和風に近く、いつまでも飲める。
お肉が控えめに乗ってて、めちゃ美味しい。
ネギが丁度いいアクセント、とか言いたくもなる。
こんなに遠くの地に来て、こんなに身近な味に出会うとは。
ところで、この肉、もしかして。
「それ?ヤクですよ。」
んああああああ(泣)
列車から見て慈しんでいたあのヤクたちの肉であった。。
命に感謝。
本当においしかった。
それにチャガモめちゃ甘くておいしい。(チャ=茶 ガモ=甘い の意、甜茶。)
ロイヤルミルクティーみたいだ。
大きなポットで出されるから、飲み放題なのかな。
なぜお金についてわからないかというと、ここはGさんがおごってくれたから。
「来てくれた人には、歓迎のために僕が払っているんです。
僕はいいから、他のガイドとドライバーの御飯代は支払ってね。」
完全に心を掌握された。(安い信頼だな)
Gさんはとても信心深い。
また会いたいな、と思わせる魅力がある。
Gさんの魅力については、これから少しずつ語っていきたい。
明後日からネパールに向けて出発するので、できるだけ更新するつもりだが、かなり簡素なものになると思う。
よりよい明日を願って、おやすみなさい。
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